債務整理における弁護士と司法書士の違いについて解説

債務整理を検討する際、「弁護士に相談すべきか、司法書士に頼るべきか」で迷う方は少なくありません。

どちらの専門家も借金問題の解決に関与できますが、実は扱える手続きや金額に明確な違いがあります。

そのため、依頼先を間違えると、希望していた対応が受けられない可能性もあるのです。

本記事では、弁護士と司法書士の法的な業務範囲の違いや、実際に債務整理においてどこまで対応できるのかを詳しく解説します。

債務整理で弁護士と司法書士どっちに依頼するべき？

債務整理で弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきかは、借金の金額と手続きの内容で変わります。

この違いを押さえておくと、どちらに相談すべきか判断しやすくなります。

ここでは、債務整理で弁護士と司法書士どっちに依頼すべきかについて詳しく解説します。

借金が140万円以下なら司法書士が安い

前提として、借金が140万円以下なら弁護士よりも司法書士に依頼する方が安いです。

司法書士法では、簡易裁判所で扱える範囲として140万円以下と規定されており、任意整理や過払い金請求もこの金額以内であれば代理交渉が認められています。

さらに、多くの司法書士事務所は着手金を低めに設定しており、家計への負担を抑えながら手続きを進めやすい点も特徴です。

借金が大きくない人や返済の見通しがある人は、司法書士への依頼で費用を抑えられる可能性があります。

金額や種類に関係なく依頼できるのは弁護士

金額や種類に関係なく依頼できるのは弁護士です。

弁護士は、任意整理・過払い金請求・自己破産・個人再生のすべてを制限なく代理できるため、状況に左右されず一括して手続きを任せられます。

司法書士は1社あたり140万円を超える債務の交渉や訴訟対応ができませんが、弁護士にはこの上限がありません。

また、裁判所とのやり取りや債権者集会への出席など、負担の大きい手続きも代理人として対応できます。

債務整理における弁護士と司法書士の違い

債務整理では、弁護士と司法書士のどちらに依頼するかで、対応できる手続きや負担の大きさが変わります。

項目	弁護士	司法書士（認定司法書士）
任意整理の代理	金額に上限なく代理可能	1社あたり140万円以下のみ対応可
過払い金請求	金額に関係なく交渉・訴訟が可能	140万円超は不可／訴訟も不可
自己破産	申立代理が可能	書類作成のみで代理不可
個人再生	申立代理が可能	書類作成のみで代理不可
裁判所対応	すべて代理可能	簡裁140万円以下のみ一部代理可
トラブル発生時	全ての金額に対応可能	金額によっては対応不可になる

ここでは、それぞれの違いをさらに詳しく解説します。

費用の違い

費用の違いは、弁護士と司法書士を選ぶ際の重要な判断材料になります。

司法書士は任意整理や過払い金請求のうち「1社あたり140万円以下」の範囲でしか代理できないことから、料金を比較的低く設定している事務所が多い点が特徴です。

着手金を安くしている場合や分割払いに柔軟な事務所もあり、家計の負担を抑えながら手続きを進めやすくなります。

一方、弁護士は金額や手続きの種類に制限なく対応できるため、費用は司法書士より高めになることが一般的です。

業務範囲の違い

弁護士はすべての債務整理手続きに金額の制限なく対応でき、司法書士は「1社あたり140万円以下」の範囲に限定されます。

司法書士は任意整理や過払い金請求でも140万円を超える債権を扱えず、訴訟対応もできません。

自己破産や個人再生では書類作成までにとどまり、裁判所とのやり取りは本人が行う必要があります。

一方、弁護士は任意整理・過払い金請求・自己破産・個人再生のすべてで代理人として動けるため、交渉から裁判所対応まで一括で任せられます。

裁判所対応と手続きの負担の違い

裁判所を介する手続きは弁護士なら全面的に代理でき、司法書士は書類作成までに限られます。

自己破産や個人再生では、裁判所とのやり取りや審尋への出席が必要になることがありますが、弁護士であれば依頼者の代わりに対応できます。

一方、司法書士は申立書の作成はできても、裁判所での手続きは本人が行う必要があり、精神的負担が大きくなりやすい点がデメリットです。

また、裁判所によっては弁護士が申立代理人でないと手続きが複雑化し、追加費用がかかる場合があります。

トラブル発生時の対応力の違い（簡裁訴訟がもつれた場合）

簡易裁判所での訴訟がもつれた場合に、最後まで対応できるのは弁護士だけです。

司法書士は「1社あたり140万円以下」であれば簡裁の代理ができますが、訴訟が長引いたり控訴へ進んだり、請求額が140万円を超えた段階で対応できなくなります。

一方、弁護士は金額に制限なく訴訟対応ができ、控訴審まで継続して任せられます。

訴訟の展開が読みにくいケースや争いが深まりそうな状況では、最初から弁護士に依頼するほうが安心して進められます。

弁護士と司法書士依頼、どっちが向いてる？

弁護士と司法書士のどちらが向いているかは、借金の金額や希望する手続きによって変わります。

費用を抑えたい場合は司法書士、幅広い手続きに対応してほしい場合は弁護士が候補になるのです。

司法書士に向いている人

司法書士に向いているのは、費用を抑えながら手続きを進めたい人や、借金額が比較的少ない人です。

とくに「1社あたり140万円以下」で任意整理ができる場合は、司法書士が現実的な選択肢になります。

司法書士が向いている人の特徴は、以下のとおりです。

• 借金が1社あたり140万円以下で収まっている
• 任意整理だけで解決できそうな状況
• 手続き費用をできるだけ抑えたい
• 返済の見通しがあり、複雑な裁判所対応が不要
• 書類作成のサポートがあれば問題なく進められる

司法書士は金額に制限がある一方で、費用を抑えながら代理交渉を任せられる点が強みです。

弁護士に向いている人

弁護士に向いているのは、借金額が大きい人や、裁判所を介した手続きが必要になる可能性がある人です。

弁護士は金額の制限なくすべての債務整理を代理できるため、状況が複雑でも一括して任せられます。

弁護士へ依頼するほうが向いている人の特徴は、以下のとおりです。

• 借金が140万円を超える債権がある
• 過払い金請求で高額になりそう、または争いが予想される
• 自己破産や個人再生など裁判所の手続きが必要
• 債権者との交渉や出頭をすべて任せたい
• 精神的負担を減らし、確実に手続きを進めたい

サイナビおすすめの弁護士・司法書士

実際に相談をするにあたって、弁護士・司法書士を探すと膨大な量の弁護士・司法書士の事務所が見つかります。

これらからどれを選べばよいかわからないという方も少なくないでしょう。

そこで、サイナビがおすすめする弁護士・司法書士をご紹介します。

はたの法務事務所

はたの法務事務所は、司法書士として27年以上の豊富な経験を持つベテラン司法書士が在籍しており、これまでに対応してきた相談件数は20万件を超える実績を誇る、信頼性の高い司法書士事務所です。

長年にわたるノウハウの蓄積と丁寧な対応が、多くの利用者から高い評価を得ています。

拠点は東京と大阪の2か所に構えており、都市部だけでなく全国どこからの相談にも対応しています。

※2025年12月現在、はたの法務事務所の大阪支店は閉鎖中です。

特筆すべきは、事務所での相談だけでなく、全国対応の出張相談も無料で行っている点です。

交通費や相談料が不要なため、地方在住の方でも安心して利用できる仕組みとなっています。

さらに、はたの法務事務所では女性専用の無料相談ダイヤルも用意されており、「異性に借金の悩みを話しづらい」という方に配慮したサービスも充実。

こうした対応からも、利用者の立場に立った「ユーザーファースト」の姿勢が伝わってきます。

債務整理は、任意整理・自己破産・個人再生など手続きの種類によっては、費用が数十万円にのぼることもあります。

しかし、はたの法務事務所では分割払いや柔軟な支払い方法にも対応しており、「今すぐにはまとまったお金を用意できない…」という方でも、無理なく依頼を進められる点が大きな魅力です。

料金面だけでなく、相談体制や全国対応の柔軟さから見ても、債務整理に不安を感じている方にとって、非常に頼りになる選択肢と言えるでしょう。

相談料・着手金・全国出張が無料で人気！

弁護士法人みやび

弁護士法人みやびは、借金問題の解決に注力している実績豊富な法律事務所で、平成21年の開所以来、15年以上にわたり多くの相談者に寄り添ってきました。

これまでに対応してきた債務整理案件は累計4,000件以上にのぼり、豊富な経験と的確な法的サポートによって、多くの利用者から高い評価を得ています。

代表を務める佐藤秀樹弁護士は、実務経験だけでなく教育分野でも活躍しており、慶應義塾大学法科大学院では実務家講師としてゼミを指導。

さらに、慶應義塾大学法学研究所でも講義を担当するなど、次世代の法曹人育成にも尽力している人物です。

高い専門性と人間的信頼を兼ね備えた代表のもと、事務所全体として質の高い対応を実現しています。

相談受付は平日10:00〜20:00までと幅広い時間帯に対応しており、日中に時間が取れない方でも夕方以降や休日の相談が可能です。

忙しいビジネスパーソンや子育て中の方にも配慮された相談体制が整っています。

借金が少額だったり、経済的な事情でまとまった費用を用意できない方に対しても、着手金0円〜という柔軟な料金体系が用意されており、費用倒れのリスクを避けつつ、現実的に債務問題の解決を目指すことが可能です。

「費用が心配で相談に踏み出せない」「専門家に話すのが不安」という方でも、気軽に相談できる環境が整っているため、初めての債務整理にも適した事務所といえるでしょう。

弁護士法人みやび｜公式サイト

弁護士法人オーガスタ

画像引用：弁護士法人オーガスタ公式サイト

弁護士法人オーガスタは、東京に拠点を置く弁護士法人です。

事務所には4名の弁護士が所属しており、それぞれが得意な分野を受け持つため、事務所では債務整理のみならず様々な分野の対応が可能です。

年間に44,000件もの法律相談の実績があり、相談は無料なので、豊富な経験を有する弁護士に無料で法律相談したい方にはぴったりです。

法律事務所FORWARD

法律事務所FORWARDの概要は、次の通りです。

名称	法律事務所FORWARD
代表弁護士	代表弁護士・保坂康介弁護士（第一東京弁護士会所属
所在地	〒150-0044 東京都渋谷区円山町5-3　MIEUX渋谷ビル3階
事務所開設	2014年10月1日
営業時間	平日　10：00〜18：00 ※事前に予約すれば土日祝にも対応
取り扱い業務	債務整理 任意整理 自己破産 個人再生 過払い金請求 法人の法律問題 企業法務 / リーガルチェック リーガルチェック 株主総会や取締役会についての準備と手続 知的財産（法的手続、管理）や商標調査 顧問業務 法律的な事項に関する相談業務 契約書のリーガルチェック・作成 相手方への送付文書作成 簡易な交渉業務 簡易な調査業務 倒産手続き / 民事再生・破産 任意整理 破産 会社更生手続き 民事再生手続き 特別清算手続き その他 建設・不動産に関する対応 債権回収 労務に関する問題 個人の法律問題 離婚・男女問題 婚約破棄 浮気や慰謝料問題養育費や親権争い 遺言・相続 遺言の作成や撤回 相続問題 スポーツ選手のための法務 顧問対応 プライベートのリスクマネジメント チームやスポンサーとの契約や交渉 その他 不動産賃貸に関する紛争 交通事故トラブル 労働問題 少年事件

法律事務FORWARDは、2014年に東京・渋谷区で代表保坂康介弁護士によって設立された法律事務所です。

債務整理はもちろん企業に関する法律問題（企業法務）・個人に関する法律問題（個人法務）に広く精通している弁護士で、債務整理の手続きの一つである自己破産における破産管財人としての経験が豊富な弁護士です。

心理カウンセラー資格を有しており、相談者には丁寧なカウンセリングが期待できます。

また、心理カウンセラー資格と弁護士としての仕事術を活かした「心理カウンセラー弁護士が教える　気弱さん・口下手さんの交渉術」という書籍の著者であり、任意整理や裁判所との交渉で有利になることが期待できます。

さらに、破産管財人の経験が豊富であることから、特に自己破産・個人再生といった法的な債務整理手続きに強みがある上に、手続き中に離婚・相続などのイレギュラーな事態が発生した場合や、法人・個人事業主の債務整理にも強みを発揮しています。

司法書士事務所TOTの概要

司法書士事務所TOTの概要は、次の通りです。

名称	司法書士法人TOT
代表社員	司法書士　坂本知昭（東京司法書士会） 司法書士　沖丈晴（東京司法書士会）
所在地	〒160-0022 東京都新宿区新宿一丁目6−5 シガラキビル2階
事務所開設	2022年11月1日に法人化
営業時間	10：00〜19：00
取り扱い業務	債務整理 相続登記 家族信託 不動産登記 商業登記 消費者の契約トラブル

司法書士法人TOTは、2022年に法人化した司法書士法人です。

新宿区高田馬場にある高田馬場法務事務所と、八丁堀にあるアイクス司法書士事務所とが合併してできた司法書士法人で、いずれも債務整理などの分野を得意としています。

代表の坂本知昭司法書士（2005年司法書士登録）と沖丈晴司法書士（2009年司法書士登録）らが、債務整理、消費者被害、相続、不動産・商用登記業務など幅広い分野を取り扱っています。

司法書士法人 赤瀬事務所

司法書士法人 赤瀬事務所は、2020年開業と比較的新しい事務所ではありますが、司法書士としてのキャリアは長く、借金問題は50,000件の実績があります。

3人の司法書士が在籍しているため、スムーズに対応してもらいやすいでしょう。

司法書士法人 赤瀬事務所

サンク総合法律事務所

サンク総合法律事務所は、女性専用の窓口があったり、女性弁護士をリクエストして依頼ができるなど、女性向けのサービスが充実した法律事務所です。

普段なかなか相談することが少ない法律事務所ですから、緊張して上手く話せなかったり、不安になってしまったりすることも多いです。

サンク総合法律事務所はアットホームな雰囲気で対応してくれるため、リラックスして相談したい方には特におすすめです。

元は代表の樋口弁護士が立ち上げた事務所で、多数の方に利用され法人となった事務所で実績も抜群です。

アヴァンス法務事務所

アヴァンス法務事務所は債務整理に特化した法務事務所で、債務整理手続き後もサポートしてくれる点が特徴的です。

債務整理後の生活を見据えて、認定司法書士が生活再建を第一に考えて最後までフォローしてくれるので、距離感が近いサービスを求めている方には特におすすめです。

また、LINEで気軽に減額診断が可能で、匿名で誰にもバレずに診断ができます。

FAST法律事務所

FAST法律事務所は、全日10:00〜19:00までの電話相談が可能で、LINEなら24時間受け付けています。

お忙しい方でも、時間外・休日の対応が可能なため、相談しやすい環境となっており、受付スタッフも女性がいるので、男性には相談しにくいなどあれば、この辺りの対応も可能です。

FAST法律事務所

弁護士法人・響

弁護士法人・響は、社会保険労務士法人や税理士法人、行政書士法人など色々な専門家集団の集まりです。

契約をすると、依頼者専属の弁護士だけでなくスタッフもつくため、質の高いサービスを求める方におすすめです。

メディア出演も豊富で、ニュース番組での弁護士の見解などで所属弁護士が登場したり、弁護士会主催のイベントに講師として登壇したりしていることからも、いかに信頼度が高いかが分かります。

弁護士法人・響

東京ロータス法律事務所

もともとは岡田法律事務所という名前でしたが、多くの実績を重ねて業務拡張をした結果、平成29年に「東京ロータス法律事務所」という名称になりました。

英語で法律を表す「law（ロー）」と人を助ける意味の「助（タス）」を組み合わせた意味である東京ロータスは、その名の通り困った人に親身に寄り添ってくれる事務所として人気が高いです。

相談が何度でも無料でできるだけでなく、着手金や報酬金が相場より安めで分割払いも可能なので、費用面を心配している方には特におすすめの法律事務所と言えます。

まとめ

本記事では、以下をお伝えしました。

・弁護士と司法書士が債務整理を業務として行うことができる法的根拠
・債務整理業務における弁護士と司法書士の違い
・弁護士・司法書士のどちらに相談・依頼すべきか
・おすすめの弁護士・司法書士

債務整理を検討する際、弁護士と司法書士のいずれに相談・依頼すべきかを正しく見極めることは、手続きをスムーズに進めるうえで非常に重要です。

両者とも借金問題の専門家ではありますが、取り扱える金額や手続きの範囲、裁判所との関与の可否に明確な違いがあります。

任意整理で、かつ借金が1社あたり140万円以下の場合は、費用を抑えられる司法書士が有力な選択肢となります。

一方で、自己破産や個人再生といった法的手続きが必要な場合、あるいは借金額が大きい場合には、弁護士に依頼するのが確実です。

最初からどちらか一方に決めつけるのではなく、無料相談などを活用して両者の意見を聞き、自分にとって最も安心できる依頼先を選ぶことが大切です。