家賃を滞納するとどうなるの?しないようにするには?滞納後の対策について

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家賃の滞納と聞くと「だらしない」「計画性がない」といったネガティブな印象を持つ人もいるかもしれません。

しかし、実際には失業や収入減、病気や家庭の事情など、誰にでも突然起こりうる事情によって滞納に陥ることがあります。

たった1ヶ月でも家賃が払えないと、大家や管理会社からの連絡や督促が始まり、最悪の場合は裁判や強制退去といった法的トラブルに発展することもあります。

本記事では、家賃を滞納するとどうなるのか、その具体的なリスクや対処法、予防策について詳しく解説していきます。

家賃は生活の基盤となる「住まい」に直結する支出だからこそ、正しい知識を持ち、いざという時の備えをしておくことが大切です。

この記事の目次

家賃を滞納するとどうなるのか?

家賃を滞納すると、まずは大家や管理会社からの電話や書面による督促が始まります。

最初の段階では「早急な支払いをお願いします」といった柔らかい文面ですが、1ヶ月を超えると内容証明郵便など、法的な手続きを見据えた催告が送られることもあります。

そのまま放置すると「契約解除通知」が届き、賃貸契約を一方的に打ち切られる可能性が出てきます。

さらに悪化すれば、大家側が裁判所に「建物明渡訴訟」などを起こし、判決により強制退去となる場合も。

滞納が長引けば遅延損害金も膨らみます。

保証会社が入っている場合には代位弁済を行って支払いを立て替えることになりますが、その後に本人へ一括請求されるケースがほとんどです。軽く見てはいけない深刻な事態に発展します。

賃貸借契約上の義務と滞納の位置づけ

賃貸借契約とは、貸主(大家)と借主(入居者)の間で一定の物(今回の場合は住居)を賃貸し、借り手が賃料を支払うという契約です。

その中心にあるのが「借主は毎月、定められた期日までに家賃を支払う義務」です。

この義務を怠る、すなわち滞納することは、契約違反にあたります。

民法第601条でも「賃貸借契約において、賃借人は賃料を支払う義務がある」と明記されており、滞納は法的にも明確な債務不履行です。

よって、たとえ「今月は厳しくて…」という事情があっても、契約上の責任は免れません。

賃貸借契約は賃料の延滞が長期化(2~3ヶ月程度)することで大家と借主の信頼関係が破壊されたと判断されると、大家から解除ができるようになります。

大家や管理会社からの督促がされる(電話・書面)

家賃を1日でも滞納すると、多くの場合は早い段階で大家や管理会社からの督促が始まります。

初回は電話やメールなどで「お忘れではありませんか?」といった比較的穏やかな連絡が来ることが多いですが、それでも放置していると、次第に文面も厳しくなり、書面による正式な督促状が送られてきます。

内容には「支払期限」「滞納金額」「支払いがない場合の今後の対応」などが記載されており、場合によっては内容証明郵便を用いて、法的手段を取る旨が通告されることもあります。

これらの書面は無視すると事態が深刻化するだけでなく、後々の裁判などで「きちんと催告を行った証拠」として使われることがあります。対応を先延ばしにせず、必ず連絡を取るようにしましょう。

内容証明郵便で家賃の支払いの催告がされる

督促を無視し続けていると、次の段階として「内容証明郵便」での催告が届く場合があります。

これは「いつ・誰が・どんな内容で」通知を送ったかを証明することができるもので、請求したことを消滅するために用いられます。

賃貸借契約では「◯月◯日までに家賃を支払わなければ、契約を解除します」と明確な期限付きの警告が記されることが多く、無視した場合はすぐに訴訟に移行される可能性があります。

内容証明が届いたということは、誠実な対応がなければ法的手続きに出ると大家側が判断していると考えるべきでしょう。

この段階ではまだ自分から話し合いの場を設けることができれば、事態の悪化を防げることもあります。

滞納者にとっては心理的なプレッシャーも大きいですが(大家側はこのプレッシャーを利用して支払いに応じてもらうようにしようとしている)、逃げずに対応することが重要です。

契約解除通知が届く

家賃の滞納が数ヶ月続くと、貸主側は「信頼関係が破綻した」と判断します。

そこで、賃貸借契約の解除に踏み切る場合があります。

その際に送られるのが「契約解除通知」です。この通知には「〇月〇日までに滞納分を支払わなければ契約を解除する」といった期限付きの文言が明記され、これを過ぎても支払いがなければ、本格的な退去請求に発展します。

契約解除通知は、内容証明郵便として送られるケースが多く、法的にも重要な意味を持ちます。

貸主は、この通知を根拠に明渡し訴訟を起こすことができます。

つまり、ここが「法的措置に進むかどうか」の最終ラインです。この通知が届く前までに対応しなければ、契約解除は免れないといえます。

裁判所による訴訟提起されと強制退去となる

契約解除通知にも応じず、滞納が解消されない場合、貸主は裁判所に「建物明渡訴訟」などの訴訟を提起することになります。

この訴訟の目的は、契約の終了と、物件からの退去を法的に認めてもらうことです。

裁判では、貸主が「信頼関係が破綻している」「契約解除の正当な理由がある」ことを立証すれば、借主の反論が認められない限り、退去を命じる判決が下されることになります。

その後、借主が判決に従わなければ、貸主は「強制執行」の申し立てを行い、裁判所の執行官が物理的に部屋を明け渡させる手続きが始まります。

家具や荷物が撤去され、鍵も交換されるなど、生活の場を失う深刻な状況になります。こうなる前にきちんとした対策を練らなければなりません。

強制執行・立ち退き命令とはどんなものか

裁判で家賃滞納による契約解除と退去命令が確定すると、借主が自発的に退去しない場合、貸主は「強制執行」の手続きを取ることになります。

これは裁判所の執行官が実際に物件へ赴き、借主を退去させる法的強制力を持った措置です。

具体的には、事前に「明渡催告書」が郵送され、一定の期日が通知されます。

それでも退去がなければ、執行官が鍵業者や運送業者を連れて強制的に室内へ入り、家具・家電・荷物などをすべて撤去します。

この費用も借主が負担することになり、数十万円単位になることも少なくありません。

また、職場や近隣住民に執行の様子を見られる可能性もあります。

家賃保証会社が家賃保障をしている場合の対応(代位弁済と求償)

最近の賃貸契約では、保証人を立てる代わりに「家賃保証会社」を利用するケースが一般的になっています。

これは、入居者が家賃を滞納した場合、保証会社が一時的に大家へ立て替え払い(代位弁済)を行う仕組みです。

しかし、保証会社が支払って終わりではなく、その後は保証会社が滞納者に対して「求償請求」を行い、立て替えた金額を請求してきます。

この場合、延滞している過去の家賃を一括で請求されます。

支払いがない場合、保証会社からも訴訟を起こされる可能性があります。

また、家賃保証会社にその記録が残ることで、他の賃貸物件に入居する際に同じ保証会社を利用する場合、審査は通らない可能性が高いです。

公営住宅やUR賃貸などの場合の扱いの違い

公営住宅やUR賃貸の場合、民間の賃貸物件とは異なる対応がなされることがあります。

たとえば公営住宅では、滞納が発生してもすぐに契約解除されることは少なく、自治体の福祉窓口や住宅課と連携しながら、分割払いや支援制度の活用など、段階的な解決策がとられる傾向にあります。

ただし、だからといって滞納を放置して良いわけではありません。

長期滞納になれば最終的には明渡し請求が行われることもあります。

UR賃貸も家賃の安定支払いを重視しており、滞納には厳格に対応しますが、相談すれば柔軟に対応してくれるケースもあります。

いずれにせよ「話し合いができるか」が重要です。

公共住宅でも、誠意ある対応が鍵となります。

家賃を滞納してしまった場合の対応策

家賃を滞納してしまった場合には次のような対応が必要です。

まずは管理会社や大家に正直に相談する

家賃を滞納してしまったら、何よりもまずやるべきことは「すぐに大家や管理会社に連絡すること」です。

「払えない」と言いづらくて放置してしまう人も少なくありませんが、無断で支払いを滞らせると、相手にとっては「逃げた」「払う意思がない」と受け取られてしまいます。

一方で、連絡さえすれば「今月は難しいが来月には支払える」「分割で対応したい」といった相談が可能であり、柔軟に応じてくれるケースも多々あります。

賃貸契約において重要なのは信頼関係であり、「誠実な態度」が評価される可能性が高いです。

相談せずに時間だけが過ぎると、相手も法的手続きを選ばざるを得なくなります。

まずは逃げずに、正直な状況を伝えることが事態の悪化を防ぐ第一歩です。

分割払いや支払い猶予の交渉

家賃がどうしても一括で払えない場合は、分割払いや支払い猶予の交渉が可能です。

多くの大家や管理会社は、入居者にすぐ出ていかれるよりも、分割ででも支払ってもらう方が好ましいと考えているため、相談に応じてくれることが珍しくありません。

例えば「今月は半額だけでも入金する」「来月は滞納分も含めて支払う」など、具体的な提案があると相手も納得しやすくなります。

もちろん、約束を守ることが前提ですので、一度交渉して認めてもらったら、その内容は確実に履行する必要があります。

文書で合意内容を残しておくとトラブル防止にもなります。

ただし、分割を繰り返しても支払いが追いつかない場合には、他の支援策や専門機関の活用も検討すべきタイミングです。

滞納が長期化してしまった場合の打開策

家賃滞納が何ヶ月にもわたってしまうと、分割や猶予だけでは解決できないケースも出てきます。

このような場合には、弁護士や公的支援機関に相談して「債務整理」や「生活再建支援」の選択肢を検討する必要があります。

たとえば、収入がない状態が続くなら、生活保護の申請を通じて家賃の一部を支給してもらうことも可能です。

また、借金があるなら任意整理や自己破産の手続きを取ることで、家賃以外の支出を軽減し、生活を立て直すこともできます。

滞納額が大きくなればなるほど、自力での解決は困難になりますが、支援制度や専門家を活用することで家賃滞納が避けられない状態を解消すべきといえます。

家賃保証会社との連絡と対応方法

家賃保証会社が介入している賃貸契約では、滞納が発生すると保証会社から直接連絡が来ることがあります。

これは、すでに代位弁済が行われたか、あるいはその直前の段階です。

この時点での対応が遅れると、保証会社は速やかに法的手段に移る傾向があります。

しかし、多くの保証会社では、本人からの連絡さえあれば分割払いの相談に応じてくれる場合もあります。

重要なのは「逃げない姿勢」を見せることです。

払いの意思があると伝えることで、信用を保つ余地が生まれます。

連絡を怠れば、訴訟・差押・信用情報への登録といった、さらに深刻な結果を招きかねません。

保証会社もビジネスとして回収を行っているため、誠実に対応すれば歩み寄りが可能なことも多いのです。

裁判を起こされた場合の対処法

家賃滞納により裁判を起こされた場合、放置するのは最悪の選択です。

裁判所からの通知や呼出状を無視すると、相手の主張が全面的に認められる「欠席判決」となり、不利な判決が確定してしまいます。

たとえ一部でも支払いを行っていた、やむを得ない事情があったなどの主張があるなら、必ず反論書面を提出し、期日に出廷することが大切です。

また、裁判所は和解を推奨する場面も多く、分割払いや退去時期の猶予など、柔軟な解決が可能なこともあります。

経済的な理由で対応が難しい場合は、法テラスを通じて弁護士費用を抑えて相談・依頼することも可能です。

「裁判=終わり」ではなく、対話の場と考えて真摯に臨めば、被害を最小限に抑える道も残されています。

法テラスや弁護士への相談について

経済的に困窮していると、弁護士に相談する費用が心配になるものですが、法的トラブルに直面したときには「法テラス」の活用をしましょう。

法テラス(日本司法支援センター)は、一定の収入基準を満たす人であれば、無料で法律相談を受けられるほか、弁護士費用を立替えてもらえる制度も整っています。

家賃滞納や契約解除、明渡し訴訟など、住宅に関する問題は生活に直結するため、優先的に取り扱ってもらえる傾向もあります。

納が長引いて訴訟に発展しそうなとき、あるいはすでに訴えられてしまったときは、早めに法テラスへ相談予約を入れましょう。

また、地域の弁護士会でも無料相談を行っている場合があります。

迷わず専門家に頼ることが、事態収拾への第一歩です。

債務整理を視野に入れるべきケース

家賃の滞納だけでなく、クレジットカードや消費者金融からの借金など、他の債務も膨らんでいる場合は、「債務整理」を検討することも選択肢の一つです。

債務整理とは、弁護士や司法書士を通じて借金の減額や分割返済、あるいは免除を求める法的な手続きです。

自己破産はその最終手段であり、すべての債務を免除してもらえる代わりに、一定の資産を処分し、信用情報に記録が残ります。

ただし、自己破産しても「住む場所がなくなる」わけではありません。

家賃滞納も債務の一つとして整理され、再スタートの道が開けることもあります。

もちろん、法律で定められた手続きが必須ですが、生活再建を真剣に考えるなら、現実的な手段として視野に入れる価値は十分にあります。

住居確保給付金とは?

「住居確保給付金」は、失業や収入減少によって家賃を支払えなくなった人に対し、自治体が一定期間家賃を補助してくれる制度です。

生活困窮者自立支援制度の一環として運用されており、働く意思がありながらも職を失った人や、勤務時間の減少で生活が厳しくなった人などが対象になります。

支給額は家賃実費を上限に、原則3ヶ月(最長9ヶ月)にわたって支給されます。

申請にはハローワークなどでの就職活動の実績が求められることが多く、自治体の窓口での相談が必要です。

条件に該当すれば、過去に滞納していた家賃分もさかのぼって補助対象になることもあり、非常に心強い制度です。

収入が不安定で家賃の支払いに悩んでいる人は、早めに申請準備を始めることが重要です。

社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度

家賃の支払いが困難になったとき、公的な貸付制度として活用できるのが「生活福祉資金貸付制度」です。

これは各市区町村の社会福祉協議会が窓口となり、低所得者や障がい者、高齢者世帯などに対して、生活再建のための資金を無利子または低利で貸し付ける制度です。

家賃の滞納により住まいを失う恐れがある場合、「緊急小口資金」や「総合支援資金」といった枠組みでの貸付が検討されます。

返済期間や条件も柔軟に設定されており、一時的な困難を乗り越える手段として非常に有効です。

ただし、原則として「将来的に返済可能な見込み」が必要なため、収入見通しや支援体制について説明する必要があります。

申請には時間がかかることもあるため、早めに相談しておくことがポイントです。

一時生活支援事業(生活困窮者自立支援制度)

住まいや生活の継続が困難になった場合、生活困窮者自立支援制度の「一時生活支援事業」が役立ちます。

これは、住居喪失や喪失の恐れがある人に対し、一定期間、無料または低額で宿泊場所を提供する制度で、衣食の支援や就労支援もセットで行われます。

住民票がなかったり、身分証が失効している人でも利用できるケースがあり、セーフティネットの最終ラインとして機能しています。

家賃滞納で退去を命じられたものの、すぐに次の住まいが見つからない場合には、こうした一時的な支援を受けながら生活を立て直すことが可能です。

また、必要に応じて生活保護の申請へとつなげる支援も行われています。

「路上に出る前に相談を」と自治体も呼びかけており、早期相談がカギとなります。

自治体ごとの家賃補助・住宅支援

各自治体では、国の制度とは別に独自の家賃補助や住宅支援制度を設けている場合があります。

たとえば、単身高齢者世帯に対する住宅手当や、子育て世帯を対象にした家賃補助、シングルマザー向けの住居支援などが存在します。

地域によって支援内容や条件、受付方法が異なるため、住んでいる自治体のホームページや福祉課での相談が必要です。

特に東京都や大阪市などの大都市では、家賃補助に力を入れているケースも多く、民間住宅に住みながら補助を受けられる制度もあります。

こうした支援は周知が不十分なことが多く、自分で積極的に情報を取りに行く姿勢が大切です。

少しでも経済的負担を減らし、滞納を未然に防ぐためにも、活用できる制度はすべて検討すべきです。

ハローワークの住宅支援制度との併用

失業や雇い止めなどで家賃が払えなくなった場合、ハローワークを通じた就労支援と住宅支援の併用が重要になります。

具体的には、住居確保給付金の申請に必要な「求職活動」は、ハローワークの窓口が基本的な窓口となっており、職業相談や面接支援などと一体で進められるのが特徴です。

また、自治体によってはハローワークの紹介で就職が決まると、家賃の支給期間が延長されたり、住宅手当が加算されたりする制度もあります。

職探しと住宅の安定は密接に関係しており、どちらか片方だけでは生活の再建は難しいものです。

ハローワークと自治体の福祉窓口は連携して動くことが多いため、両方の機関を活用して支援を最大限に引き出すことが賢明な選択です。

滞納が続くと引っ越し・転居先にも影響が出る?

家賃滞納の事実は、次の引っ越しにも大きく影響します。

特に家賃保証会社を利用していた場合、滞納や代位弁済の履歴がその保証会社に残るため、再度同じ会社を通す賃貸契約では審査落ちする可能性が高くなります。

そのため、保証人が必要な古い物件や、審査が緩い代わりに条件の悪い物件にしか住めなくなるといった制限が生まれます。

家賃滞納は一時のトラブルに見えて、実は今後数年にわたって影響を及ぼす可能性があります。

だからこそ、問題が小さいうちに解決策を講じることが重要となります。

保証会社の審査に落ちるリスク

近年ではほとんどの賃貸物件で、入居時に保証会社の審査を受けることが必須となっています。

そのため、過去に滞納歴があると審査に通りづらくなり、「入居を断られる」可能性が現実のものとなります。

とくに一度代位弁済を受けた人は、同じ保証会社での審査通過は極めて困難ですし、保証会社によっては内部で共有される情報により、他社での入居も制限されることがあります。

さらに、滞納トラブルが裁判記録に残っていると、管理会社が独自に調査して審査で弾かれることも。

結果的に、通常の賃貸物件への入居ができず、選択肢が大幅に狭まることになるのです。

賃貸住宅は「信用」で成り立っており、その信用を一度失うと、回復するには長い時間がかかるという現実があります。

引っ越し先が見つからなくなるケース

家賃を滞納して強制退去となった場合、次の住まい探しが非常に困難になる可能性があります。

保証会社が入っているケースで、ブラックリストとなってしまった場合、次の物件を探す際に、その会社に保証会社が入っていて、信用情報を使って審査をする場合、審査が下りなくなります。

保証会社が入っている場合でも信用情報により審査をしない保証会社である場合や、身内などに連帯保証人になってもらって契約する場合には、ブラックリストであることが理由で賃貸審査が通過しないことはありません。

転居時に必要な初期費用のハードル

新しく部屋を借りる際には、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保証料・火災保険料など、多くの初期費用が発生します。

これらを合計すると、家賃の4〜6ヶ月分が必要になることもあり、特に家賃滞納によって資金が枯渇している人にとっては大きな負担です。

さらに、滞納経験があると物件の選択肢が限られ、相場より割高な物件しか選べないケースもあります。

保証会社の再審査が通らず、連帯保証人が求められることもありますが、親族が協力を拒めばそれも難航します。

引っ越し費用も含めると、数十万円単位の資金が必要になるため、退去後にすぐ生活を再建するのは至難の業です。

家賃滞納がきっかけに生活債権を困難にしてしまう可能性もあります。

同居人が滞納した場合の責任は?

ルームシェアやカップルでの同居など、複数人で住んでいる場合、一方が家賃を滞納しても「連帯責任」が発生する可能性があります。

たとえば、契約書に複数名が「連帯債務者」として署名していた場合、大家はどちらか一方に対して全額の請求をすることができます。

実際には、一人が家賃を払わずに出て行ってしまい、残された同居人が全額を請求されるといったトラブルも珍しくありません。

また、口約束で同居していた場合でも、大家から見れば「実際に住んでいる人=支払い義務がある」と見なされることもあります。

事前に契約内容を確認し、金銭面のルールを明確にしておかないと、他人の責任を背負わされるリスクが生じます。

家族・恋人との共同生活で起きる家賃トラブル

恋人や家族と同居している場合でも、家賃トラブルは発生します。よくあるのは、どちらか一方が収入の大部分を担っており、もう一方が支払いに消極的なケースです。

たとえば、パートナーが支払いを怠ったり、収入がなくなったのに負担割合を見直さなかったりすると、滞納が発生しやすくなります。

家族間でも「親が払ってくれていると思っていた」「兄弟が立て替えていたはず」といった思い違いで、気づけば何ヶ月も滞納していたという例もあります。

また、関係が悪化してどちらかが家を出てしまった場合、残された人に支払い義務が集中し、経済的に破綻することも。

共同生活では、家賃の支払いルールを契約書レベルで明確にすることが、トラブル回避の鍵となります。

家賃滞納に関するよくある質問(Q&A)

家賃滞納に関してよくある質問には以下のものがあります。

Q1ヶ月でも滞納すると退去になる?

A:

契約上は家賃を支払う義務があり、債務不履行にあたります。

しかし、賃貸借契約においては信頼関係が破壊されない限り、解除され退去にはならないとされています。

誠実に連絡し、早期に対応すれば猶予をもらるケースが多いですが、1ヶ月でも連絡に全く応じない・過去に何度も滞納している・騒音が酷いなど他にも信頼関係を破壊するような事情があれば、を怠れば猶予をしてもらえる期間が短くなります。

Q何ヶ月分の滞納で強制退去になる?

A:

信頼関係が破壊されたといえる場合について、何ヶ月分の滞納でという明確な基準はありません。

ただし2~3ヶ月以上滞納があると信頼関係が破壊されたといえることが多いです。

保証会社が支払ったら自分の責任はなくなる?

いいえ。保証会社が代位弁済を行った場合でも、今度は保証会社からあなたに請求されます。

この権利のことを民法では求償権と呼んでいます。そのため、支払い義務が免除されるわけではありません。

滞納の記録が信用情報に影響する?

家賃滞納そのものが必ずしも信用情報機関に登録されるわけではありませんが、家賃保証会社を利用している場合には延滞として処理されます。

また、保証会社が滞納分を立て替える「代位弁済」を行った際、その事実が社内データとして記録されるほか、信用情報にも登録されます。今後のクレジットカード作成やローン申請だけでなく、新たな賃貸契約時の審査にも悪影響を及ぼします。

一度ついた傷は数年間残るため、できる限り早期に対応し、信頼を回復する努力が必要です。

分割で払えば訴訟は避けられる?

分割払いの相談に早い段階で応じてもらえれば、訴訟に発展することは避けられるケースが多いです。

ただし、分割払いの約束を破ったり、支払い意思が見られないと判断された場合は、訴訟を起こされることもあります。

重要なのは、誠実に連絡を取り、現実的な支払いプランを提示することです。

支払い能力に合わせて具体的に提案をすることで、管理会社や貸主との信頼関係をつなぎとめることができます。

文書やメールでやり取りを残しておくと、トラブル防止にもなります。

分割払いの承諾を得たら、遅れず支払うことが絶対条件です。

約束を破れば一転して法的措置を取られるリスクが高まるため、無理のないプランを提示し、責任を持って履行しましょう。

家賃滞納は信用情報にいつまで影響する?

家賃滞納自体が信用情報機関(CIC、JICC等)に登録されることは一般的ではありませんが、保証会社が関与している場合や、裁判に発展した場合は注意が必要です。

代位弁済が行われれば、その事実は保証会社の内部記録に残ります。

信用情報の「異動情報」もしくは「事故情報」は5年~7年で消去されます。

生活保護を受けながら賃貸に住める?

生活保護を受給している場合でも、賃貸物件に住むことは可能です。

むしろ住まいの確保は生活保護の目的の一つであり、家賃相当分は「住宅扶助」として支給されます。

ただし、家賃の上限は地域によって異なり、その範囲内での物件選びが必要です。

また、入居審査時に生活保護の受給者であることを理由に断られることもありますが、違法な差別にあたる可能性があります。

福祉事務所やケースワーカーと連携して物件を探すと、受け入れ可能な大家を紹介してもらえることもあります。

生活保護受給中の家賃滞納は、即支給停止などの処分につながる可能性があるため、支給された範囲で家賃をきちんと支払うことが最重要です。

支援を最大限に活かしながら、安定した生活を築いていきましょう。

まとめ:家賃トラブルを未然に防ぐには?

家賃滞納は、失業や体調不良など、誰にでも起こりうる現実的な問題です。

しかし、滞納を放置したり、連絡を怠ったりすることで、裁判・強制退去・信用低下といった深刻な事態に発展するリスクがあります。

最も大切なのは「早期の相談」と「誠実な対応」です。大家や管理会社との信頼関係を保ちつつ、状況に応じた支払いプランを提案し、可能な限り支援制度や法的サポートを活用しましょう。

住居確保給付金、生活福祉資金、法テラスなどの公的支援を組み合わせることで、生活再建の道筋を立てることも可能です。

家賃は生活の基盤を守るための最優先支出であり、だからこそ丁寧な対応が求められます。

ピンチの時ほど、一人で抱え込まず、助けを求める勇気が大切です。

監修者:司法書士法人ABC メディア担当

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